2023.04.29. あよお 金澤尚宜

熊本県天草市で作陶されている金澤尚宜さんの器が届きました。自然豊かな土地で生まれる表情豊かな器たちをお楽しみ下さい。

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Profile
生まれ故郷天草諸島で作陶する陶芸家、金澤尚宜さん。緑豊かな山々と透き通る海に囲まれ、季節や日々の移り変わりによって絶えず表情を変える情景的な風景が広がる下島にアトリエをかまえています。壮大な自然の中で生まれる瞬間を温かく優しい独自の感性で汲み取り、心に刻まれたその一瞬を魅力的なうつわたちを通して表現しています。屋号にも使われている「あよお」とは天草の人々が喜びや悲しみ、驚きの瞬間に思わずこぼす地元の方言であり、そこには自然と共に生きる中で生まれた感情を作陶を介して形に残すという想いが込められています。

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金澤さんの器には自身が暮らす天草の豊かな景色からインスパイアされた色や形が常に存在し、風薫る森や波が揺れる海辺、土の温もりなど天草の息吹がふんだんに込められています。 偶発的に生み出された景色を独自の調合で作られた釉薬を使い表現した様を金澤さんは釉景と名付けています。 刻一刻と変化する自然の移り変わりを焼き上がりが予想できない釉薬の変化で表現した釉景を通して、私たちは金澤さんが見た天草の景色を確かに見ることができます。

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優しいフォルムは自身が実際使いたくなる器という考えに基づいて作られているからこそ使い勝手がよく、ダイナミックな質や色感にも関わらず釉薬に天草陶石を調合しているためマットでさらっとした手触りが心地よい金澤さんの器。 本質的な機能性と自然の美しさを表した釉変、用と美を備えた一つとして同じものはない器から天草を感じてみてください。

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- 青の釉薬の景色「青の釉景」 -
金澤さんが陶芸の道を歩み始めた当初から使っている青の釉薬は、変わりゆく海の表情に憧れその美しさを表現するために創り出されました。雲母と銅をベースに 10 種類以上の厳選された成分を調合し、焼き上がりの結果が読めない窯まかせの釉薬です。作家自身の想像を超える釉薬の変化で生み出される青は、海の広がりと深みを感じさせ水で濡らし日の光に当てることでさらに表情が変わります。

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- 貝と海 -
貝と海と名付けられた器たちは金澤さんが地元天草の珊瑚の海を訪れたさい目にした、彼方まで広がる美しい水中の世界を表現したシリーズです。 透き通った海にゆるりと舞い降りた陽光がきめ細かい海底の砂を撫で、ゆらゆらと揺れるサンゴや宝石のように散りばめられた貝が織りなす優しい時間。 自然が紡ぎ出す幻想的な揺らめきを数種類の釉薬を使い描き出しています。

- まだねむい -
朝がもっぱら苦手な金澤さん。まだ眠い目を擦りながら夜明けの空を見上げると、そこには美しい朝と夜が融合したような優美な景色が広がっていました。 朝の美しさと静けさが交錯する瞬間が金澤さんの心の奥底に染み入り、少しずつ明るくなる水平線を眺めながら穏やかに流れる時間を美しいグラデーションで表現しています。

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- 海の花 -
思考をとめ、波の揺らぎにただ身を任せ浮遊していると突然現れた美しい海の花。その瞬間世界が一瞬で色鮮やかに変わり、まるで異世界へと誘われるような不思議な感覚。 その感覚を繊細な釉薬の変化で表現し美しい海の花が咲く瞬間を器へと昇華させた海の花シリーズは、美しくも儚い印象を感じさせます。 詩の一篇を読むような芸術的な器です。

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- モーンガータ -
「モーンガータ」スウェーデン特有の言葉で本来翻訳できない言葉ですが、訳すのであれば「水面に映る道のような月明かり」 潮騒の音色が響き渡る満月の夜、静かに佇んでいると自分の周りだけ時間が止まったような感覚になり、ただひたすらその静寂と神秘的な雰囲気に包まれている。 空気は冷たく薄い霧が立ち上る中、作者を新たな旅へと誘うかのような水面に映し出された月の道。 海の香り頬を撫でる潮風、深呼吸するとゆっくりと流れ出す穏やかな時間と風景を揺らぎある釉薬で表現したシリーズです。

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- 惑星のみずうみ -
星々の煌めきを中央に湛えた「惑星のみずうみ」と名付けられた器。 金澤さんと奥様が工房近くの海岸で集めたシーグラスを用いたこの器からは打ち寄せる静かな波の音が聞こえてくるようです。 煌く湖の底に静かに沈む惑星、その幻想的な世界を小さな器に閉じ込めた絵画のようなシリーズです。

取り扱い
千駄ヶ谷店 (営業時間 11:00〜19:00)
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