2024/05/05 - Lola Moreau -

『日本の朝ごはんをイメージして』

フランス人陶芸家ローラ・モローの器が届きました。
今回依頼したのは日本の朝の食卓に馴染むもの。
手捻りで作られた柔らかな印象の器、一つずつ異なる質感に思わず自分好みの一客を探したくなります。

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パリ11区、バスティーユ広場からほど近い閑静な路地にアトリエを構える陶芸家、ローラ・モロー。
幼少の頃から、テキスタイル関連の職人であった父親のアトリエで多くの時間を過ごし、熟練の職人である父親が紡ぐ魔法のような作品に触れながら感性を育んできました。
その影響もあり以前はウェブやビジュアルコンテンツの仕事に就いていた彼女ですが、夜間の陶芸教室に通い始めたことで、陶芸家としての道を歩み始めました。
陶芸に魅了されたローラは、友人でもある作家と共にスタジオを開設し、瞬く間に陶芸は彼女の生活の中心となりました。

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彼女の作品は、手の動きや感覚が伝わるような柔らかな造形と、長年培った視覚的な魅力を組み合わせたもので、実用性と装飾性を兼ね備えています。自身が目指す「テーブルでも棚でも単独で美しく見える物」を作りたいという想いが彼女の器には強く反映されています。

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そして今回、日本の朝ごはんをイメージして、お茶碗、湯呑み、豆皿を作っていただきました。
朝の柔らかな光に映える静かな色合いのお茶碗は、肉厚で適度な重さがあり、手に取った時のフィット感と波打つ表面の手触りが心地よいです。そんなお茶碗に合う小さめの湯呑みと、おかずを盛る豆皿を並べたら幸せな朝の風景が出来上がります。

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手捻りで作られたローラの器は、同じテイストのものでも一つ一つ異なる形、大きさ、重さを持ち、轆轤成形とは違う温もりがあります。思えば私たちの手の大きさも一人一人違うからこそ、自分の手に一番しっくりくる器を選ぶことができるのも、彼女の作品の魅力の一つです。

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思わず目を留めてしまった釉薬。 これはもしかして富士山かなと、想像を掻き立てられます。
彼女の作品作りは釉薬に対するアプローチを最初のステップとします。通常、釉薬をかける作業は製造工程終盤の焼成前となりますが、彼女にとっては釉薬の変化こそが想いを表現するうえで重要となるため、土との掛け合わせや焼成温度など様々なアプローチを最初に試み、そこから生まれる無限の可能性の中に自分の答えを見つけます。
一つ一つ異なる表情の釉薬、そのそれぞれに魅力が詰まっています。

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最近、初めての日本旅行から帰国したローラ。家に着いてからすぐに次のチケットを調べるほど日本を気に入ってくれました。
彼女のSNSにも、滞在中に撮影された日本の日常風景がアップされており、私たちが見落としがちな日本らしさを彼女の写真から垣間見ることができます。
旅行中に目にした日本特有の細部へのこだわりや繊細な感覚は、彼女が作陶する上で目指すところでもあり、次なる創作活動への大きな刺激となっているようです。
日本を好いてくれたローラに私たちもより親しみを感じ、そんな彼女が作る器もすっかり私たちのお気に入りです。

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自分の手に馴染む一点ものの器。ぜひ毎朝の小さな幸せに。

オンライン千駄ヶ谷店